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物性セミナー/2015-11-6

2015年 冬学期 第2回 物性セミナー

 講師 新居 陽一 氏(東大総合文化)

 題目 磁気スキルミオンと力学応答

 日時 2015年 11月 6日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

スキルミオン結晶 (SkX) は、ナノサイズの磁気渦が三角格子状に配列した新たな磁気秩序状態である。 2009 年ドイツのグループによって発見されて以降 [1] 、次世代型磁気メモリへの応用可能性に加えて、非共面的な磁気構造と伝導電子系の強結合がもたらす新しい電磁場応答(創発電磁場応答)が強い関心を集め、盛んに研究されている [2] 。スキルミオンは交換磁歪や磁気異方性を介して格子系とも結合するため、電磁場応答のみならず力学的にも有意な応答を示すと期待される。中でも弾性は凝縮体の最も基本的な物性の一つであり、例えば第二種超伝導体の場合、磁束格子の形成(融解)に伴った弾性定数の増加(減少)が観測されている。本セミナーでは典型的なスキルミオン物質である MnSiにおいて観測されたスキルミオンの弾性 [3,4] 、および最近観測した MnGe の弾性について紹介する [5] 。特に後者は、スキルミオンと反スキルミオンが立方格子を組んだ非従来型のSkX 状態が実現していると期待されている。これら ( 反 ) スキルミオンは、伝導電子系に対し ( 反 ) 磁気モノポールとして振る舞い、そのダイナミクスや対消滅が巨大な創発電磁場応答をもたらすと予測される。実際、今回観測された弾性異常もモノポールや反モノポールの揺らぎを格子系を介して観測したものと考えられる [5] 。

[1] S. Mhlbauer et al., Science 323, 915 (2009)

[2] N. Nagaosa and Y. Tokura, Nat. Nanotechnol. 8, 899 (2013)

[3] Y. Nii et al., Phys. Rev. Lett. 113, 267203 (2014)

[4] Y. Nii et al., Nat. Commun. 6, 8539 (2015)

[5] N. Kanazawa, Y. Nii et al., submitted.

宣伝用ビラ

KMB20151106.pdf(260)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2015年11月02日 11時06分17秒