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物性セミナー/2015-10-16

2015年 冬学期 第1回 物性セミナー

 講師 野島 勉 氏(東北大学金属材料研究所)

 題目 電気二重層トランジスタの多機能性を用いた新奇超伝導の研究

 日時 2015年 10月 16日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

電気二重層トランジスタ (EDLT) は、イオン液体や電解液をゲート絶縁体として採用した一種の電界効果トラジスタ (FET) である。ゲート電圧を印加した際に試料表面に形成される電気二重層の巨大な静電容量により、通常の固体ゲート材料を用いた FET に比べ 1-2 桁大きなキャリア密度を持つ表面 2 次元電子系を電界誘起 ( 静電的キャリアドープにより実現 ) できる。一方EDLT では、静電的キャリアドープの範囲を超えたゲート電圧の印加によって起こる試料とゲート材料との間の電気化学反応も見逃せない。この現象は試料により、エッチング、酸化還元反応、インターカレーション等と様々であるが、これらの反応の条件を理解し利用することによって、より広範な物性制御が可能となる。さらに、 EDLT によって誘起される電子系には、強い電場によって引き起こされる空間反転対称性の破れがあり、これに起因した大きなスピン軌道相互作用の効果も期待できる。本講演では、 EDLT による電界誘起超伝導体が新たな 2 次元超伝導研究の基軸となり得る現状 [1, 2] を述べた後に、 EDLT の単なるキャリアドープに止まらない上記の多機能性を利用した、 (1)FeSe 超伝導体の超薄膜化と高 Tc 化 [3] 、 (2) ホール系銅酸化物超伝導体のキャリア符号変化 [4] 、 (3) 電界誘起超伝導体のスピン軌道相互作用によるパウリ極限の上昇 [5] 、に関する最近の研究結果を紹介する。特に (1) では FeSe 膜においてエッチングと電界効果の組み合わせにより 40 K を超える超伝導転移温度 Tc 、 (3) では MoS2 において 50T を超える上部臨界磁場 Hc2 を実現した。これらの場合に予測される電子状態について議論したい。

[1] K. Ueno et al., Phys. Rev B 89, 020508(R) (2014).

[2] Y. Saito, Y. Kasahara, J. Ye, Y. Iwasa, T. Nojima, Science in press (Science Xpress, 1Oct. 2015).

[3] J. Shiogai, Y. Ito, T. Mitsuhashi, T. Nojima, A. Tsukazaki, arXiv:1510.00175.

[4] T. Nojima et al., Phys. Rev B 84, 020502(R) (2011).

[5] Y. Saito et al., arXiv:1506.04146.

宣伝用ビラ

KMB20151016.pdf(295)

物性セミナーのページ

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駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2015年10月07日 20時19分27秒