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物性セミナー/2014-1-17

2013年 冬学期 第8回 物性セミナー

 講師 山本文子氏(理化学研究所創発物性科学研究センター)

 題目 4d5d遷移金属を含むパイロクロア型酸化物の超高圧合成と相転移

 日時 2014年1月17日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

A2B2X7の組成を有するパイロクロア型構造は、いわゆる幾何学的フラストレーションを内在し、AまたはBに磁性イオンを配置することで、強磁性、金属絶縁体転移、超伝導など様々な物性が現れる。そのため、この十数年間、精力的な物性研究がなされている。Xが酸素の場合は、A3+/B4+, A2+/B5+など、Aにはイオン半径が比較的大きい希土類イオンやアルカリ土類イオン、Bに比較的小さい遷移金属イオンをとることが多い。Bが3d遷移金属のときは、局在の傾向が強く、低温で結晶構造歪みを伴う磁気秩序を生じて絶縁体となることが多い。逆に、Bが5dのときは、強い遍歴性により少なくとも室温ではほとんどの場合良導体となる。また、Bが4dのときは、局在性と遍歴性が拮抗し、組成や温度によりしばしば金属絶縁体転移を生じる。

  これらを系統的に理解するためには、新しい組成のパイロクロア型化合物を設計し、合成することが重要である。しかしながら、AにHg2+やTl3+といった揮発性の高い元素を使用する場合やBにRu5+、 Ir5+といった高酸化イオンを含む場合、その合成は容易ではない。これを解決し、目的物質を得る有効な手段のひとつに超高圧合成法がある。この方法は閉鎖反応系であるため、出発組成を選ぶことで組成の保持や酸化/還元による異常原子価の安定化が可能となる。我々はここ数年、この方法を用いて、いくつかの新しいパイロクロア型酸化物、Hg2Ru2O7, Tl2Ru2O7, Tl2Rh2O7, Hg2Ir2O7, Tl2Ir2O7を合成してきた。今回の講演では、超高圧合成法を紹介するとともに、これらパイロクロア型酸化物の電気的および磁気的物性を報告し、その結晶構造との関係を議論したい。

宣伝用ビラ

KMB20140117.pdf(334)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2014年01月14日 14時47分11秒