2013年 夏学期 第7回 物性セミナー
講師 岸根順一郎氏(放送大学)
題目 カイラルらせん磁性体の物理
日時 2013年 6月 28日(金) 午後5時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
磁気秩序構造に様々な次元性を持つトポロジカル欠陥を作り込んで電流や外場によって制御しようという研究が活発に進行している。ランダウ理論によれば、秩序構造は結晶の幾何学的対称性によって括り込まれたものである。この意味で、秩序状態が織りなすトポロジカル構造も結晶の幾何構造の配下にある。我々はこのような視点に立ってこの5年ほど「カイラル磁性結晶で実現するカイラルらせん磁気構造」に興味を持って研究を進めてきた。この種の磁気構造に磁場を印加すると、カイラルソリトン格子と呼ばれるコヒーレントなスピン位相のストライプ秩序が安定化する。このストライプ構造は「周期的,非線形,非対称,トポロジカル」という性質をあわせ持ち, 0.1テスラ程度という控えめな磁場でその空間周期を数十ナノメートルから結晶サイズまで連続的に制御することができる。本講演では、六方晶カイラル空間群に属する層状カルコゲナイドCr1/3NbS2におけるカイラルらせん磁気構造とカイラルソリトン格子構造の実空間観測実験および理論研究(特に伝導性との関連)の現状と展望について紹介する。余裕があれば、X線、中性子、ミュオン、超音波といった偏極プローブによるカイラリティ検出の試みにも触れる。
[1] J. Kishine, I. G. Bostrem, A. S. Ovchinnikov, and Vl. E. Sinitsyn Phys.Rev.B 86, 214426 (2012)
[2] Y. Togawa, T. Koyama, K. Takayanagi, S. Mori, Y. Kousaka, J. Akimitsu,S.Nishihara, K. Inoue, A. S. Ovchinnikov, and J. Kishine, Phys. Rev.Lett.108,107202 (2012)
[3] J. Kishine, I. Proskurin and A.S. Ovchinnikov, Phys. Rev. Lett.107,017205(2011)
[4] I. G. Bostrem, J. Kishine, and A. S. Ovchinnikov, Phys. Rev. B78,064425(2008)
[5] J. Kishine, A. S. Ovchinnikov, and I. V. Proskurin, Phys. Rev. B82,064407(2010)
[6] J. Kishine, I. G. Bostrem, A. S. Ovchinnikov, and Vl. E. Sinitsvyn,Phys.Rev. B 86, 214426 (2012)
宣伝用ビラ
KMB20130628.pdf(462)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2013年04月19日 19時18分35秒