!!!2012年 冬学期 第8回 物性セミナー !!講師 田中宗氏(東京大学大学院理学系研究科) !!題目 2次元量子系のエンタングルメントスペクトル -- VBS 状態と量子格子気体模型を例として -- !!日時 2013年 2月 15日(金) ==午後4時30分== 午後5時より {{colorsize red,4,いつもと時間がちがいます}} !!場所 ==16号館 827== 3号館108 {{colorsize red,4,いつもと場所もちがいます}} !アブストラクト 近年、統計物理学・計算物理学・物性科学・量子情報科学など様々な分野において、量子多体系におけるエンタングルメントの研究が盛んに行われている。特に統計物理学的観点からは、量子多体模型の特徴とエンタングルメントの特性との関係を検討することが重要な課題である。例えば、ギャップレスの1次元系に関しては、対応する共形場理論の情報をエンタングルメントの特性から読み取れることが知られている。また、ギャップのある1次元系についてはエンタングルメントエントロピーの飽和値と端状態の数の関係が明らかにされている。一方で2次元以上の量子多体系に関するエンタングルメントの特性については現在いくつかのグループが検討しはじめているところであり、普遍的な性質の探求は未開拓であるといえる。我々は、解析的に取り扱うことが可能な系について注目し、着実に得られる結果を基礎として、2次元以上の量子系におけるエンタングルメントの特性に関する知見を積み上げるという方針を取って研究を進めてきた。我々は (a)正方格子上・六角格子上のVBS状態[1,2] (b)正方格子上・三角格子上の量子格子気体模型の基底状態[3] について、エンタングルメントエントロピーやエンタングルメントスペクトル(エンタングルメントハミルトニアンの分散関係)、我々が新しく導入したnested entanglement entropy と呼ばれる量の解析を行った。特にエンタングルメントスペクトルの「低エネルギー」構造と基本的なモデルの分散関係が類似していることを見出した。また幾つかの場合について、有限サイズスケーリングやnested entanglement entropy の解析を通じて、基本的なモデルの中心電荷が現れることを示した。 本研究は、桂法称氏(学習院大学)、Anatol Kirillov氏(京大数理解析研究所)、Vladimir Korepin氏(YITP,Stony Brook)、川島直輝氏(東大物性研)、Lou Jie氏(Fudan university)、田村亮氏(物材機構)との共同研究である。 References: [1] Hosho Katsura, Naoki Kawashima, Anatol N. Kirillov, Vladimir E. Korepin, and Shu Tanaka, Journal of Physics A 43, 255303 (2010). [2] Jie Lou, Shu Tanaka, Hosho Katsura, and Naoki Kawashima, Physical Review B 84, 245128 (2011). [3] Shu Tanaka, Ryo Tamura, and Hosho Katsura, Physical Review A 86, 032326 (2012). !宣伝用ビラ {{ref KMB20130215.pdf}} !物性セミナーのページ http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar !駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可) http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi