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物性セミナー/2012-5-18

2012年 夏学期 第2回 物性セミナー

 講師 今村卓史氏(東京大学生産技術研究所)

 題目 一次元KPZ方程式の厳密解: レプリカ法によるアプローチ

 日時 2012年5月18日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

Kardar-Parisi-Zhang (KPZ)方程式は界面成長を記述する確率微分方程式であり、高さゆらぎの普遍的な臨界指数を解析的に導出できる点、また界面成長のみならず様々な物理系 (バーガーズ乱流、directed polymer等)に現れる点で重要な方程式である。2010年以降、KPZ方程式およびKPZ普遍クラスの理解は大きく進展している [1]。まず楔型の初期条件で一次元KPZ方程式の高さ分布関数の厳密解が得られた。 また液晶乱流を用いた実験では高さ分布関数が高精度で観測され、ランダム行列理論における最大固有値分布 (Tracy-Widom分布)に従うことが確認された。

本講演では、一次元KPZ方程式のレプリカ法による解析についてお話しする。レプリカ法では、高さのN次指数モーメントの期待値 (Nレプリカ分配関数)に着目する。この量の時間発展が、N粒子の引力型一次元デルタ関数ボース気体 (Lieb-Liniger模型)の時間発展で記述出来ることが重要である。Lieb-Liniger模型ではBethe仮説によって固有値、固有関数の厳密解が得られる。したがってKPZ方程式の高さの時間発展をBethe仮説の知見を用いて厳密に議論することが出来るのである。我々は最近この方法を発展させることによって物理的に重要な定常状態におけるKPZ方程式の高さ分布、および高さの定常二点相関関数の厳密解を得た [2]。講演ではこの成果を中心に、KPZ方程式の厳密解研究の進展についてお話ししたい。

[1] K. A. Takeuchi, M. Sano, T. Sasamoto, and H. Spohn, Sci. Rep. 1, 34 (2011).

[2] T. Imamura and T. Sasamoto, arXiv:1111.4634to appear in Phys. Rev. Lett.

宣伝用ビラ

KMB20120518.pdf(747)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2012年05月07日 12時03分46秒