2011年 夏学期 第10回 物性セミナー
講師 佐藤 純氏(お茶の水女子大学)
題目 一次元ボース気体のダイナミクスのベーテ仮設による厳密計算
日時 2012年2月10日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
デルタ関数型相互作用をする1次元ボース気体はLieb-Liniger模型として知られ、ベーテ仮説法により厳密に対角化される。ベーテ仮設法は従来、熱力学極限における解析的な計算手段として主に用いられてきたが、有限系の数値計算の手法としても大変優れている。最近、Slavnovによる形状因子の行列式公式を用いて数値的に高精度にダイナミクスを計算する手法が発展した。今回はこれを一次元ボース気体のダイナミクスに応用した計算結果を報告する。
古典極限において非線形シュレディンガー方程式は古典ソリトン解を持つが、これが元々の量子多体系においてどのように対応するのか、未解決の難問である。引力相互作用の場合には、束縛状態をフーリエ変換することによって量子波束を構成し、それによる量子場の演算子の行列要素が古典ソリトンに対応することが解析的に示されている。一方、斥力相互作用の場合には、type II励起と呼ばれるホール励起がダークソリトンに対応するとの予想がある。
今回我々は斥力相互作用の場合において、type II励起をフーリエ変換することによってダークソリトンに対応する量子波束を構成することに成功した。さらにこれを初期状態として、Slavnov公式を援用することによって厳密な時間発展を計算し、古典極限においてはダークソリトンに対応する量子波束が崩壊していく実時間ダイナミクスを観測したので、結果を報告する。
宣伝用ビラ
KMB20120210.pdf(477)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2012年02月02日 19時57分45秒