!!!2011年 夏学期 第4回 物性セミナー !!講師 鳥谷部 祥一氏(中央大学理工学部) !!題目 情報-自由エネルギー変換と分子モーター !!日時 2010年 6月 24日(金) 午後4時30分 !!場所 16号館 827 !アブストラクト Maxwellの悪魔は,熱力学法則の根幹に関わる疑問を投げかけ,熱力学第二法則の意味するところを再び考え直し,観測や情報が熱力学において果たす役割を理解する契機となった.その議論を通して分かってきたことは,個々の熱揺らぎを測定し,その結果に応じて制御できれば,情報を使って自由エネルギーを汲み出す「情報-自由エネルギー変換」が可能だということである. 我々は,回転ブラウン粒子に対して勾配のある周期ポテンシャルを課し,さらに,高速でポテンシャルを切り替えることが可能な新しい実験法を開発した.この実験系とリアルタイム制御システムを組み合わせ,粒子の位置を観測し,その結果に応じてポテンシャルを切り替えるフィードバック操作を行った.粒子が勾配に逆らってポテンシャルを登り,さらに,外からした仕事以上の自由エネルギーを得ることを示す.これは,情報-自由エネルギー変換を行う「情報熱機関」の実現を意味する[1].また,最近,沙川と上田は,フィードバック操作を含む過程に一般化されたJarzynski等式を導いた[2].この等式は,情報熱機関の動作を制限する重要な関係式である.この等式が精度よく成り立つことを示す[1].関連する話題として,分子モーターの1分子熱力学および制御機構に関する実験についてもお話ししたい. [1] S. Toyabe, T. Sagawa, M. Ueda, E. Muneyuki, M. Sano, Nature Phys. 6, 988 (2010) [2] T. Sagawa and M. Ueda, Phys. Rev. Lett. 104, 090602 (2010) !宣伝用ビラ {{ref KMB2011-0624.pdf}} !物性セミナーのページ http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar !駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可) http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi