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物性セミナー/2010-5-21

2010年 夏学期 第4回 物性セミナー

 講師 古川 亮 氏(東大生産技術研究所)

 題目 変形下のガラス状物質の不安定化機構

 日時 2010年 5月 21日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

過冷却状態あるいはアモルファス状態にある極めて高粘性な流体の変形下での挙動は、材料科学の諸分野における膨大な実験研究の蓄積にも関わらず、現状では系統的な理解が著しく困難である。特に、シアバンド形成、疲労、破壊など、本質的に密度(=縦モード)の空間的な不均一化を伴う変形機構を理解することは、基礎研究のみならず、工学や地球物理などの応用的見地からも重要である。講演者らは最近、粘性の圧力微分の逆数を超える剪断率を与えたとき、正の圧縮率で特徴づけられる熱力学的に安定な液体の一様状態であっても、力学的に不安定化し、遂にはキャビテーションやシアバンドといった非線形現象に至るという新たな機構を提案した。この機構は粘性(緩和時間)の密度依存性が顕著なガラス形成物質において、広く成立しうるものであると考えている。このような物質系では、この不安定化を規定する時間スケール(=粘性の圧力微分)は系の緩和時間よりも遥かに遅いものとなりうる。そのため、我々が予測する不安定化現象は、通常の粘弾性不安定化とは質的に異なるものであることを強調したい。さらに、最も一般的な粘弾性体モデルを用いることで、上記の不安定化機構を固体領域にまで一般化した。系の緩和時間と変形の時間スケールの競合を考慮することで、より広い範囲での不安定化現象の予測が可能になると期待している。講演では、連続体レベルでのメカニズムから、その分子論レベルでの理解までを、数値シミュレーションの結果も交えて統一的に紹介したい。

宣伝用ビラ

KMB2010-0521.pdf(1137)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2010年05月12日 07時23分53秒