2010年 冬学期 第6回 物性セミナー
講師 中村正明氏 (東京工業大学大学院理工学研究科)
題目 数層グラフェンにおける磁気的性質と輸送現象
日時 2010年 12月 24日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
グラフェンにおける低エネルギーの物理現象は2次元Dirac方程式を用いて説明されることが知られている。グラフェンとは通常単層のグラファイトを指すが、数層の積層構造を持つものも注目されている。
2層グラフェンは印加される電場によってエネルギーギャップの制御が可能な系として注目されている。この系の低エネルギーの物理現象は2次元Dirac型ハミルトニアンで記述されるが、さらに磁場が印加された場合、エネルギーギャップの効果により、正負のランダウ準位に非対称性が生じる。この系において、ランダウ量子化された波動関数を用いて電子密度をセルフコンシステントに決定することにより、その非対称性の効果が量子ホール効果やde Haas - vanAlphen効果などに現れることを議論する。
さらに、グラフェンが3層以上の積層している場合は、主に2層を周期とするAB(Bernal)型と、3層を周期とするABC(Rhombohedral)型の2形態が考えられる。また、細密充填でない多層構造として、AA型の単純六角格子も考えることができる。通常のグラファイトはBernal型の積層構造であるが、結晶成長技術の進歩により、このような多様な積層構造を持った多層グラフェンの合成が期待される。これらの系での電気伝導や磁気的性質についても議論する。
参考文献
[1] M. Nakamura, E. V. Castro and B. Dora, Phys. Rev. Lett. 103, 266804(2009)
[2] M. Nakamura and L. Hirasawa, Phys. Rev. B 78, 033403 (2008)
[3] T. Wakutsu and M. Nakamura, in preparation
宣伝用ビラ
KMB2010-1224.pdf(625)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2010年12月20日 22時49分59秒