!!!2009年 夏学期 第5回 物性セミナー !!講師 郡 宏 氏(お茶の水女子大学 お茶大アカデミック・プロダクション) !!題目 結合振動子系の振動子レベルとネットワークレベルの応答をつなぐ !!日時 2009年 6月 19日(金) 午後4時30分 !!場所 16号館 827 !アブストラクト 細胞集団のつくるシステム(臓器や個体)で,細胞になんらかの入力を与えることを想 定する.細胞への入力は,まずその細胞の状態を変化させるが,やがてそれはシステム レベルの変化をもたらす.この細胞レベルの応答とシステムレベルの応答はどのように つながっているのだろうか?本セミナーでは,振動子ネットワークを考え,個々の振動 子レベル(ミクロ)とネットワークレベル(マクロ)の応答の関係性を明らかにする理 論研究について報告する. 理論は位相振動子モデルによって構築されており,任意の不 均一性・ネットワーク構造を取り扱うことができる. この研究のモチベーションの一つは,我々の概日リズム(約24時間周期の体内時計) の 光刺激に対する応答にある.我々の概日リズムは,光を受ける時間によってその時計が 進んだり戻ったりする.朝方 に光を浴びると時計が進み,次の睡眠や目覚めが早くなる. また日暮れ後に光を浴びる と逆に時計が戻ることが知られている.光を受けたときに, どれだけ概日リズム時計の 時刻(つまり位相)が変化するかを,光を受けた時の位相に 対してプロットしたものを 位相反応曲線と呼ぶ.これは,体全体といった,システムレ ベルの応答を特 徴付ける.一方,概日リズムは視交叉上核と呼ばれる神経細胞ネットワ ークが作っている.細胞レベルでは,光の入力は視神経を介して視交叉上核の各細胞に 直接影響を与え,各細胞の時計を変化させる.この応答も各細胞が固有に持つ位相反応 曲 線で記述できる.ここで,細胞レベルとシステムレベルの位相反応曲線はどのように関 連するのだろうか?このセミナーで報告する理論によって,これらの間の非自明な関係を 示唆することができる. 共同研究者:河村洋史,中尾裕也,新井賢亮,蔵本由紀 参考文献:H. Kori, Y. Kawamura, H. Nakao, K. Arai, Y. Kuramoto: "Collective dynamical response of coupled oscillators with any network structure", arXiv/0812.0118 !宣伝用ビラ {{ref KMB2009-0619.pdf}} !物性セミナーのページ http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar !駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可) http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi