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物性セミナー/2007-6-22

2007年 夏学期 第5回 物性セミナー

 講師 山口 明 氏(東大物性研)

 題目 超流動3He-A1相におけるスピン緩和とマイノリティ・スピン対凝縮

 日時 2007年6月22日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

超流動3HeはP波凝縮相で、S=1、L=1の内部自由度を反映して、異なる対称性をもった幾つかの超流動相が出現する。A1相はその中のひとつで、磁場中でのみ出現する特殊な超流動相である。A1相では磁場に平行なクーパー対のみしか存在せず、超流動成分は完全にスピン偏極し超流動スピン流は質量流と等価であると信じられてきた。我々のグループでは最近、このA1相のスピン密度緩和を磁気噴水効果を利用して測定した(1)。磁気噴水効果とは、Super Leakによって連結された二つの容器に磁場勾配を印加すると、スピン密度勾配に比例した圧力勾配が発生する現象である。磁気噴水圧力はスピン密度の緩和とともに減衰するので、圧力の時間変化を測定することで、A1相中でのスピン密度緩和を測定することができる。我々は、最高8Tまでの高磁場中、約2.5mK付近で、スピン密度緩和を精密に測定し、A1相中でのスピン密度緩和は非常に強い温度依存性を持っているということを明らかにした。そして、この温度依存性を説明する原因とし、Minority Spin Condensateの成長を提唱した。Minority Spin Condenstateとは、A1相中には磁場に反平行なスピンをもつクーパ凝縮対がごく僅か混入しているということで、理論的には20年ほど前から予言されてきた。実際、Minority Spin Condensateが存在するとして、Leggett-TakagiのIntrinsic緩和の理論を当てはめると、観測された緩和時間をよく再現できることがわかった。このことによりMinority Spin Condensateの存在を示す初めての実験事実と考えている。(1) A. Yamaguchi, S.Kobayashi, H. Ishimoto, H. Kojima,Nature 444, 909(2006)

宣伝用PDFビラ

2007-0622.pdf(315)

物性セミナーのページ

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駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

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最終更新時間:2007年06月16日 01時45分28秒