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物性セミナー/2006-12-1

2006年 冬学期 第 6回 物性セミナー

 講師 多々良 源 氏(首都大都市教養)

 題目 磁壁の電流駆動の理論

 日時 2006年 12月 1日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

首都大都市教養、JSTさきがけ、阪大基礎工、理研

多々良 源、河野浩、柴田絢也

強磁性体の磁化を構成する磁区の境界である磁壁は、典型的には厚さ10-100nm程度の磁化のねじれた構造である。この磁壁は電気抵抗に寄与することが1970年代ごろには理論的、実験的にわかってきた。この抵抗を生みだす電子散乱の主たる起源は伝導電子と磁化(局在スピン)の間の交換相互作用である。電気抵抗が磁壁から生じるならば、その反作用で磁壁は電流から力を受けるはずで、電流により磁壁を動かすことも可能であるはずである。1978年にBergerはそう考え、理論解析を始めここに電流による磁化制御の歴史が始まった。彼の解析により、磁壁を動かすメカニズムとしては電子反射の力と伝導電子と局在スピンの角運動量の交換(スピン移行効果)の2つがあることがわかった。最近になりこの電流誘起磁化反転の問題はスピントロニクスの1つの重要課題として多くの研究者を引き付け、実験技術の進歩もあいまって多くの成果が最近でている。デバイス応用の観点からはもっとも重要な課題は、

1. 磁壁移動に要する電流密度(臨界電流密度)をさげること、

2. 移動速度を速くすること、の2点である。

こうした問題に答えるには理論もBergerによる現象論的解析では限度があり、微視的解析が必要となってきている。

講演では磁壁の電流駆動に関して最近行った我々の微視的記述について紹介し、今後の課題などを議論したい。なお我々の研究についての参考文献は

G. Tatara and H. Kohno, Phys. Rev. Lett. 92, 086601(2004);

E. Saito et al, Nature 432, 203 (2004);

多々良 源、河野浩、柴田絢也、齊藤 英治、固体物理 40, 545(2005);

柴田絢也、多々良 源、河野浩,固体物理 41, 109 (2006).

H. Kohno, G. Tatara and J. Shibata, J. Phys. Soc. Jpn. 75,113706 (2006).

宣伝用PDFビラ

2006-1201.pdf(764)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

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最終更新時間:2006年11月21日 21時45分37秒