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物性セミナー/2018-8

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2018-8-8

2018年 夏学期 第8回 物性セミナー

講師 和田浩史氏(立命館大学理工学部物理科学科)

題目 弾性棒はいかにして円柱にまきつくか

日時 2018年 8月 8日(水) 午後4時50分

場所 16号館 827

アブストラクト

我々の身のまわりでは、細くてやわらかい物体はしばしば、それよりかたい構造物の表面に巻きついて存在する。例えば、アサガオなどの蔓植物は、つるを適当なサイズの樹木などの表面にまきつけ、それを支えにして成長する。ケーブルや電気製品のコード、ひもや裁縫糸は多くの場合、円形に巻き取られてパッキングされる。我々はスパゲッティをフォークに巻きつけたり、麺を箸に巻きつけたりして食べる。女性が巻き髪のエアスタイルをつくるときには、ヘアアイロンに髪の毛を巻きつける。我々を含む真核細胞の染色体内部では、DNAフィラメントはタンパク質に階層的に巻きつくことできわめて高密度に格納されている。ある種のスピロヘータ細菌は、鞭毛を円柱状の菌体に巻きつけることでらせん的な細胞のかたちを維持する。スケールや対象は異なるが、これらすべての例において、弾性棒内部に生じる張力や物体間のサイズ比が適切であることが、望ましい形態(多くの場合にらせん)をえるために必要である。では、そもそも、ソフトな弾性棒はどのようなときにかたい構造の表面に安定的にまきついて、どのような条件のときには巻きつくことができないのであろうか。この一見単純にきこえる力学の問題は、じつは弾性力、幾何学、重力、摩擦力といった複数の物理的要素が複雑に関わりあう興味深い問題である。我々は、重力と弾性力が競合するスケールにおいて、マクロ模型を使った実験、数値シミュレーション、弾性理論を組み合わせて系の静的および動的なふるまいを調べている。セミナーではその結果について紹介する。(この研究は谷茉莉さんとの共同研究です。)

宣伝用ビラ

KMB20180808.pdf(155)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar