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2021-5-28
2021年 夏学期 第2回 物性セミナー
講師 Le Duc Anh 氏(東京大学 工学系研究科 総合研究機構)
題目 酸化物ヘテロ界面における特異な電子構造を生かした新しいエレクトロニクスの創成
日時 2021年5月28日(金) 午後4時50分
場所 Zoomによるオンライン開催
出席希望者は、予め登録をお願いします。登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。MLによるセミナー案内メールにてZoomアドレスをお知らせします。(物性セミナーMLに登録されている方は、ここでの登録は必要ありません。)
アブストラクト
ペロブスカイト酸化物は、非常に多様な物理現象が潜んでおり、物性物理の基礎研究およびデバイス応用の観点において、大変興味深い材料系である。本セミナーでは、強磁性ペロブスカイト酸化物であるLaSrMnO3界面の特異な電子構造を利用した超低消費電力での磁化回転[1,2]およびSrTiO3酸化物界面で得られた高移動度2次元(2D)正孔ガス(2DHG)[3,4]など、我々が最近ペロブスカイト酸化物界面において発見した新しい機能性について紹介する。これらは将来の酸化物ベースのエレクトロニクスを支える重要な要素となりうることが期待される。現在、スピンを用いた電子デバイスにおいては、低消費電力での磁化制御方式の実現が大きな課題となっている。電界による磁化制御が実現できれば理想的であるが、電界では磁化スイッチングを引き起こせるほどの大きな磁気異方性変化を引き起こすことができず、電界のみによる完全な磁化スイッチングの実現は難しい。本研究では、La0.67Sr0.33MnO3(LSMO)/ SrTiO3(STO)/ LSMOで構成される磁気トンネル接合(MTJ)において、LSMO/STO界面の化学ポテンシャルがバイアス電圧印加により変化して、それにより、電子の軌道対称性が変わることを用いて、電圧印加によって界面の電子を異なるバンド間(eg ↔ t2g)で遷移させることによりLSMOの磁気移動性が大きく変化することを明らかにした[1]。この現象により、0.05 V/nmの非常に小さな電界を印加するだけで、LSMOの磁化を外部磁場を使わずに90度スイッチングすることに成功した[2]。次に、SrTiO3(001)基板上に、nm以下の極薄のFe層(厚さ≤0.2nm)を堆積することによって得られたFeOy/STO界面における2 Kで24,000 cm2/Vsにおよぶ超高移動度の2DHGについて紹介する。この移動度の値は、酸化物材料においてこれまでに報告された中で最高の正孔移動度である[3]。また、最近、同じ手法を用いてSrTiO3基板上にNPN接合を作製し、新しいトンネル電界効果トランジスタ(TFET)の実現に成功したので、併せて紹介したい [4]。
[1] L. D. Anh et al., Sci. Rep. 7, 8715 (2017).
[2] L. D. Anh et al., Phys. Rev. Applied 12, 041001 (2019).
[3] L. D. Anh et al., Adv. Mater. 32, 1906003 (2020).
[4] L. D. Anh et al., https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-434231/v1 (2021, preprint).
宣伝用ビラ
KMB20210528.pdf(75)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar
2021-5-21
2021年 夏学期 第1回 物性セミナー
講師 深見 俊輔 氏(東北大学電気通信研究所)
題目 スピントロニクスの未利用の機能性と新原理計算機への展開
日時 2021年 5月 21日(金) 午後4時50分
場所 Zoom によるオンライン開催
・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。
・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。
アブストラクト
スピントロニクスでは電子の持つ電気(電荷)と磁気(スピン)の二つの顔を同時に利用することで発現する現象を明らかにし、工学的に利用することを目指す。スピントロニクスが提供する代表的な機能性として、磁気情報の電気的な検出、不揮発情報記憶、低電流での高速磁化反転などがあり、これらは既に磁界センサや不揮発性メモリで利用されている。本講演では、アナログ性、確率性、短期記憶などのスピントロニクスの未利用の可能性に着目し、これらの新原理計算機への応用の可能性について述べる。不揮発性アナログ素子[1]を人工シナプスとして用いた人工神経回路網[2]や、熱揺らぎを積極利用する確率動作素子を人工ニューロンとして用いた疑似的な量子計算技術[3]に関して最近の研究成果を紹介する。
[1] S. Fukami et al., Nature Materials, 5, 535 (2016).
[2] W. A. Borders, H. Akima, S. Fukami, S. Moriya, S. Kurihara, S. Sato,and H. Ohno, Applied Physics Express 10, 013007 (2017).
[3] W. A. Borders, A. Z. Pervaiz, S. Fukami, K. Y. Camsari, H. Ohno, andS. Datta, Nature, 73, 390 (2019).
宣伝用ビラ
KMB20210521.pdf(97)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar