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物性セミナー/2018-12

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2018-12-21

2018年 冬学期 第4回 物性セミナー

講師 栗原 綾佑 氏(東大物性研 国際超強磁場科学研究施設 特任研究員)

題目 超音波による四極子-歪み相互作用の探索と(Pb, Sn)Te/Inの音響ドハース

日時 2018年 12月 21日(金) 午後4時50分

場所 16号館 827

アブストラクト

 超音波は,結晶格子の歪みと回転を同時に誘起し,MHz程度の周波数とmicrometer程度の波長をもって結晶中を伝搬する.そのため,結晶の対称性の破れと関係した量子系の基底状態を,低エネルギーの観点から探索できる実験手法である.これまでは,軌道縮退に由来する電気四極子と結晶の歪みとの1次結合で記述される相互作用が着目され,局在4f電子系の四極子秩序の対称性の破れや,鉄ヒ素超伝導体での構造相転移と超伝導発現機構への電気四極子の寄与を解明するなど成果を上げてきた.歪みに対して,磁場は時間反転対称性の破れをもたらし,磁気双極子を持った量子状態や,dHvA効果によるフェルミ面の決定に寄与してきた.他方,近年注目を集める複合的に対称性の破れた系での量子状態の研究では,主に時間反転と空間反転対称性が取り上げられ,結晶の対称性の破れの観点からの研究も課題となっている.

 そこで本研究では,時間反転対称性と結晶対称性の破れに着目し,近年トポロジカル物性が注目され,構造相転移をも示す(Pb, Sn)Te/In系での音響ドハース効果を研究対象とした.その結果,電気抵抗率は低温・低磁場でシュブニコフ・ドハース(SdH) 振動を示し,2 Tの量子極限以上の磁場で増大した.さらに,SdH振動と対応して,構造相転移のソフトモードとなる横波弾性定数とその超音波吸収係数が,磁場印加によって振動する音響ドハース(AdH) 効果を観測した.本セミナーでは,超音波による結晶の歪みの群論による分類を始めとして,四極子-歪み相互作用の導出やこれまでの超音波物理を紹介した後に,(Pb, Sn)Te/InのSdH振動数やAdH振動を議論する.

Reference

[1]. S. Takaoka et al., Phys. Rev. B 20, 2823 (1979).

[2]. K. R. Knox et al., Phys. Rev. B 89, 014102 (2014).

[3]. S. Takaoka et al., Solid State Comm. 46, 287 (1983).

[4]. S. Takaoka et al., Solid State Comm. 54, 99 (1985).

[5]. C. D. O’Neill et al., Phys. Rev. B 95, 144101 (2017).

[6]. T. Seddon et al., Solid State Comm. 17, 55 (1975).

[7]. S. Sugai et al., J. Phys. Soc. Jpn. 47, 539 (1979).

[8]. V.L. Gurevich et al., Soviet Phys. JETP 13, 552 (1961).

宣伝用ビラ

KMB20181221.pdf(206)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar