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物性セミナー/2021-10

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2021-10-29

2021年 冬学期 第1回 物性セミナー

講師 小川 直毅 氏 (理研 創発物性科学研究センター)

題目 量子位相が駆動する光電流 -シフト電流-

日時 2021年 10月 29日(金) 午後4時50分

場所 Zoom によるオンライン開催

・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。

・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。

アブストラクト

究極的な省エネルギーを実現する物性として, 固体中の電子やスピンの背後に潜む「トポロジー」や「位相」と呼ばれる量子性の利用が期待されている. 反転対称性の破れた結晶中のあらゆる場所で発生する「バルク光起電力効果」はその一例である. 一般的な太陽電池では, 半導体界面における電子-正孔対励起と, 内部電界によるその分離/ドリフトにより電荷が取り出される. 対して「バルク光起電力効果」では, 光励起に際して電子波動関数の位相(Berry位相/接続)が変化し, 波面が進むことにより電荷が輸送される. これはボルツマン輸送理論で記述される通常の散逸電流とは質的に異なり, 「シフト電流」と呼ばれるが, その量子力学的理解が進んだのは今世紀に入ってからである. 実験においても, (i)光起電力の大きさが物質のバンドギャップを超える, (ii)入射光の偏光や波長(バンドの選択)によって電流の符号が反転する場合がある, (iii)光電流の発生が結晶の欠陥や電荷キャリアの移動度に依存しない, など, 半導体界面における光電変換とは異なった物性が観測される. シフト電流は二次の非線形光学効果として定式化することも可能であり, 入射光の偏光に対して結晶の対称性を反映したテンソル応答を示す. これらバルク光起電力効果と量子幾何学との関連, シフト電流の基礎特性, 高速分光による研究例と, その応用可能性について紹介したい.

[1] S. M. Young and A. M. Rappe, Phys. Rev. Lett. 109, 116601(2012).

[2] T. Morimoto and N. Nagaosa, Sci. Adv. 2, e1501524 (2016).

[3] J. Ahn, G.-Y. Guo and N. Nagaosa, Phys. Rev. X 11, 041041 (2020)

[4] 小川直毅, 五月女真人, 中村優男, 森本高裕: 日本物理学会誌 75, 154 (2020).

[5] 中村優男, 五月女真人, 小川直毅, 川崎雅司: 応用物理90, 98 (2021).

宣伝用ビラ

KMB20211029.pdf(49)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar