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物性セミナー/2019-1

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2019-1-23

2018年 冬学期 第7回 物性セミナー

講師 大槻純也 氏 (岡山大学 異分野基礎科学研究所)

題目 強相関化合物における長距離秩序の理論予測にむけた最近の進展

日時 2019年 1月 23日【水】午後4時50分ーーーいつもと違う曜日に注意!

場所 16号館 827

アブストラクト

動的平均場法(DMFT)は、モット絶縁体や重い電子系化合物などの強相関物質の研究に広く用いられている近似計算法である。最近では、第一原理計算と組み合わせることで、化合物の詳細を考慮した多体電子状態計算も行えるようになってきている(DFT+DMFT法)。

我々が取り組んでいるのは、DFT+DMFT法による磁性や軌道秩序、多極子秩序などの相転移の再現と予測である。これを実現するには、軌道自由度や多体効果の扱いなど、解決すべき課題が多く残っている。最近我々は、DMFT法における空間揺らぎを簡易的に評価する近似式を導出した[1]。この式は強相関極限で正しい結果に一致し、RKKY相互作用などの良く知られた結果を再現する。したがって、DFT+DMFT法による化合物のスピン・軌道・多極子揺らぎ計算を実現する、極めて有用な方法になると期待される。

講演では、この新しい近似式の詳細やアイデアを紹介し、RPAやRKKY相互作用などの伝統的な近似法との関連について議論する。

[1] J. Otsuki, K. Yoshimi, H. Shinaoka, and Y. Nomura, arXiv:1812.10918

宣伝用ビラ

KMB20190123.pdf(190)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2019-1-18

2018年 冬学期 第6回 物性セミナー

講師 野口 篤史 氏(東大総合文化)

題目 共振器オプトメカニクスと超伝導量子回路

日時 2019年 1月 18日(金) 午後4時50分

場所 16号館 827

アブストラクト

物体の位置や距離を測る技術であるレーダーは,対象に電磁波を照射し、その反射波を観測している.特に波長の短い電磁波である光を用いることで,高感度な位置測定を行うことができる.近年では,さらに光共振器を組み合わせた共振器オプトメカニクスと呼ばれる系[1]の研究が進み,物体の振動の量子ノイズや重力波の検出のような究極的な実験が行われるようになってきた.ここまで測定感度が上がると,ハイゼンベルグの顕微鏡で考えられているような,物体の変位測定の反作用にまで考慮する必要があり,測定感度と反作用が釣り合う量子標準限界に近い感度での測定がなされるようになってきた. 我々は近年,物体の変位をさらに高感度に測定する技術として超伝導量子回路を用いる方法を提案・実現した[2].超伝導回路の非線形な応答を利用することで,共振器オプトメカニクス系を電気回路で構成した.この系は,これまで実現してきた共振器オプトメカニクス系を上回る性能を発揮し,測定のために入射する単一光子レベルの微弱電磁波の反作用までが影響するほど高い感度を実現している.

[1] M. Aspelmeyer, T. J. Kippenberg, and F. Marquardt, Rev. Mod. Phys. 86, 1391 (2014)

[2] A. Noguchi, R. Yamazaki, Y. Tabuchi, and Y. Nakamura, arXiv:1808.03372 (2018).

宣伝用ビラ

KMB20190118.pdf(180)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2019-1-16

2018年 冬学期 第5回 物性セミナー

講師 西尾太一郎 氏(東京理科大学理学部)

題目 S波超伝導体を用いた分数磁束量子の生成

日時 2019年 1月 16日【水】 午後4時50分・・いつもと違う曜日に注意

場所 16号館 827

アブストラクト

MgB2などの超伝導体では2つのバンドで超伝導ギャップが開くことが知られている。このような超伝導体は2バンド超伝導体と呼ばれている。2バンド超伝導体では、通常見られるような電子間相互作用によるバンド内電子散乱の他にバンド間電子散乱(ジョセフソン相互作用)が存在している。このバンド間相互作用が小さい場合、2つのギャップは互いに交じり合わず、独立を保つため2つのオーダーパラメータが定義される。理論[1]によれば、バンド間相互作用が非常に小さい場合、ソリトン型のバンド間位相差が引き起こされる可能性がある。また、ソリトン生成に付随して分数磁束量子状態が形成されることもわかった。これは新奇な物理で応用などを考えたとき非常に興味をひかれる現象である。そこで我々は位相差ソリトンの観測と制御をめざし、2バンド超伝導体と等価な二重層構造をもつ超伝導薄膜をつくり、ソリトンのしるしとも言える分数磁束量子の観測を行った。 試料は、AlO層を挟んだ2つの薄いNbの薄膜からなり、上の層にあるピンホールにより磁束をトラップできるようになっている。Nbの膜厚は20 nmである。直径2 μmのピンホールは40 μmの間隔で中央部に並んでいる。走査型SQUID顕微鏡を用いて、試料に弱い磁場をかけることによって面内に生じた磁束量子を直接観察した。実験の結果、磁束の積分値がほぼ0.5Φ0である磁束量子を観測することに成功した[2]。実験の詳細、分数磁束量子であるかどうかの検証およびソリトンとのかかわり合いなどについてはセミナーで発表する予定である。本研究は、物材機構 有沢俊一氏、産総研 山森弘毅、柳澤孝、田中康資の各氏らとの共同研究である。

[1] Y. Tanaka, PRL 88 (2002) 017002.

[2] Y. Tanaka, H. Yamamori, T. Yanagisawa, T. Nishio, S. Arisawa, Physica C548 (2018) 44-49.

宣伝用ビラ

KMB20190116.pdf(255)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar