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このページはよほど我々groupに興味がある人しかたどり着けない構造になっていると勝手に思っている. にもかかわらず結構読んでいる人が多いことにひそかにたじろいでいる. (今これを読んでいる貴方はかなり暇な人であるという自覚を持った方がいいと思います).

2024/10/10     
溜まっていた憂さを晴らすようにいっぺんにいきます:
ヨーロッパ出張 2024/6
6月にフランス-> スイス -> ドイツの旅をしました. まずフランスでは前から割と親しく議論しているが未だに謎の人物だった共同研究者がいるのですが, 今回のvisitで彼がプロ顔負けのベーシストで, 本当にプロのフラメンコダンサーの専属写真家(すごい写真なのです)で, 私なぞ足元にも及ばない自由人であるということ(向こうも私のことを相当な特異点だと思ってるらしいのが ややフクザツな心境)ことがわかってしまった...聞き出せば聞き出すほどエピソードがすごすぎて面白すぎる... そして3日中1日まるごとplanckian metalの洗脳を受け, ついその後, これまで手を出すのがやだなと思っていたdcについて勉強してしまいました.
週末は ドイツの友達の家にステイして庭のサクランボ収穫大会を行い, ジャムを20瓶くらい作りました. 物理屋二人が本気で3時間サクランボをシンク一杯とって駄弁りながらひたすら剥き続けるという (結構こういう無心の作業は我々は好きかも)... いやぁたのしかった. そして私の好きそうな古道具屋につれていってもらい, まあいろいろ... なぜみなドイツに移民したがるかはわかりますね. 私はコンサバなので日本がいいですが.

少なそうに見えるけどこれものすごい節操のない量. レーベルにまでこだわる遊び好きの友.
勿論平日はみっちり仕事しました.

台湾 2024/8
やや予定外だったのが台湾出張で, 2wk位台湾に夏の予定表にがっちり挿入され, 学期が終わり講義を4つおえて開放された先から 台湾大学のステイと陽明交通大学の夏学をしてきました. 更に夏の学校の演題として5個挙げた候補の中からよりによってもっともやるのが難しいDMETを指定され(えーーこれ?!) ました. 結果論としては自分でも準備中いろんな理解が整理できてよかったなと思いましたが, 院試もある中, 短期間にたくさんの小山を乗り越えた感がすごい. 台湾には おいしいものが安くたくさんありますが 特に酷、惹仁湯(ハト麦の漢字が違う;存在しない)というどんぶりスイーツが 私の大好物で, いろんな薬草寒天やピーナツ, 白豆なんかもあって定番でだいたい40元くらい(300-400yenくらい, 日本の約半額!)劇ウマなのです. しかしこれを3日目くらいから毎日1回ずつ食べていたら体重がさらに一気に増加. すっかり後姿が熊になってもどってまいりました. 現地の若者にこれおいしいよね!というと 「これおばあちゃんとかが食べてる古い系統のやつだよ」 と一蹴されましたが 彼らにはこの良さがわからないのだろうか. 台湾は物理がなんだかんだ言っても素朴で日本では 失われた 昭和のいい時代がずっと続いている感があります. 比較して どうして日本の業界は直球のよさ, 面白さを忘れて こんなに細かいことをこねくり回すようになってしまったんだろう と日本物理学会も出てみて思った次第.

日本 2024/9
日本物理学会 9月はプロジェクト関連で シンポを企画する役周りで, あまり人前で一席ぶつのは好きではない手前 心理的ハードルは高かったのですが, 割と選択肢は斬新でよかったのではないかと自分たちでは思っていて 年長ではnakaharaさんがききに来てくださって近況を教えていただいたり(ゆっくりお話しできなかったが) 若者がたくさん聞きに来てくれたり, 登壇者たちの話では反響もよかったらしく 無事に済んだと思われる.

アラスカ 2024/9
そして アラスカ. そう, 行く前から「私今度アラスカ行くんだー」と会う人ごとについ言ってしまう, 恐らく二度と行くことがないだろうアラスカ. 寒かった, 物価がとにかく高かった, しかしエクスカージョンが最高でした. 登山 なのです. 「Chisa, あなた登山靴もってきてないの?」(そもそも持ってないさ), 「その靴は無理よ〜私のスニーカーのほうがましだからかしたげようか」とか もう皆, 口々に, 靴のことを突っ込んでくる. もちろんそんなことはわかっている. わたしはこのDanskoでこれまで ヨーロッパのいろいろな山ハイクを制覇してきた.. よくよく荷物量も考えたうえでこれできたのだ. まず簡単なブルーベリーロードというハイキングロードがあり そこからはずれて急ピッチで登山の丸太段を上にのぼっていき, これ下を見ると高所恐怖症の人は こわくなる (この第一急斜ポイントで Winterくんは身に危険を感じてリタイア). いったん鞍点にたどりつきます. ところがそこはまだ気持ちの上で全行程の3割くらい. まず植生限界がそのあたりで 上にはごろごろした岩しかない道なき山 がある(下の地図にある黄色い登山ロードはフェイク. 道は基本見えない). それをだいたい30分くらいか, ひたすら手足を駆使して 登っていくと, いったん峰があるのですが そのあたりが大体セカンドリタイアポイント. Mazumdarはこのあたりで身の安全のため下山. そのあとはロッククライミングとまではいわないものの踏み外したら20mは傷だらけになりながら軽くずれ落ちるような かなり身の危険を感じる斜面. kanodaさんは真剣に危険を感じたもよう. (まあしかし慎重にいけば今まで様々な友達に連れてかれた山に比べるとそうでもない.) しかし頂上に旗が立っているのです. 旗が立っている以上いくしかありません. 我は 次の朝一のトークでしたので ここで絶対の絶対にケガはできない. しかもスライドはまだ完成していない.

.... というわけで無事若者に遅れて頂上にたどり着く. そして旗をとりたがっていたujiさんが 写真とりに油断している隙に, 先に旗に手をかける, ふっふっふ. .. そして地団太を踏むujiさん. 下山中, すれ違った知らないお兄ちゃんに「Oh! Dansko---」と言われた. 皆, 非常識だと思うポイントは同じらしい. 午後6時に家につき 日本のオンライン会議とスライド作成に午前2時半までノンストップで働き, 翌朝8時半にトークをする (評判はよかった! やはりネコでも分かるトークであることが大事なようだ). 次の朝は寝坊しかかったものの, わたしもまだまだ捨てたものではない.
若者たちが zooがいい!というので Nataliaに行きは載せていってもらって一瞬ですが zooにもいってきました. なんと, アメリカンイーグルが1m先でのほほんとこちらを見てくれるのです.

この黒いヤツが全力で突進してくる. 「hi! 僕 この季節 ときどき突進しちゃうんだ よろしくね 」みたいな看板がかいてある.
白熊さんも茶熊も黒熊もいて, OXも 高貴なヤマネコもユキヒョウも, そして絵本で見たような長髭の山ヤギもいる(私がじっと見たら逃げて行った). ここの動物たちは 孤児などの理由で保護されたのが多いらしく, とても我々へのアクションサービスがよく, 生き生き動いてくれてすばらしかったですね. 難点は, 帰りのバス停まで徒歩5km, ひたすらアメリカンロード. バスは1時間に1本で乗り継ぎなので車の5倍は時間がかかる. つくづくアメリカは住みたくない. 通りすがりの おばあちゃんに ゴルフ場と動物園の間の道いける?ときいたら 「歩きならよした方が良い, 熊やヘラジカに出会ってしまうよ」といわれた.... まじか, なんと 外もzoo. アラスカでした.
しかしまだ予定は半分もこなせていない, まだまだ続くよ, 今年のプレゼン行脚.

2024/4/2     
最近ちょっと忙しすぎるなぁと感じています. この間久々に7年ぶりくらい?もっとかもしれない, アメリカのおともだちと 会議で会って食事しました. 我々の年代は最近は皆超絶多忙なので お互いそれを分かっていて短い時間の交流をものすごく 有効化する方法に長けるようになりました. 彼はphDを異常に若くしてとるとか元ハーバードの冠教授とか意味が分からない経歴の人で冷静に考えるとうーん頭おかしいな と思うんですけど いたって普通のにいちゃんで 30代はじめ知り合ったころからすでに人生を倦んでいましたが, いいひとです. 台湾のYと3人で話していたときおまえもold DMRG generationだろ?最近若いやつの顔と名前がわからないよな, みたいな 話. 一緒の時代に年を取ってきた感みたいなものが最近 すごいです. まずだんだん昔会議で一緒に遊んでいた人たちの数が 減っていく... そしてやれることは限られてるから本当に大事なことだけやりたいとか皆 言い出す.... そして久々に会うと意外なことをやってたり 偶然に似たようなこと考えていたり, 仕事面では期待は裏切らない. だんだん複雑さを抑え込んで平気な顔をシンプルにできるようになる, 研究室や仕事悩みの種類が似てくる, evaluationとか物事に関する感じ方もだいたい似る... というような現象が起こります. これはおそらくこの業界だけではないのかなと思います.
わたしたちも2023年度よく働いたなと思いました. 良い仕事もいくつかできたように思いますがこれも学生たちが皆頑張ってくれたからだと思います. このまま意外性を積み重ねて継続できたらいいなと思うところもありますが もっと打って出るとしたらどういうことなんだろう, と思ったりもします. あとまあ実験の人と会うと必ず期待を裏切らずいいネタを提供してくださるのはすごいなと思うこの頃です. 若いころは 人間関係の慣れ合いなんてふん, という感じで自分独力でやっていく感が満ち満ちていたと思いますが この年になると 才能豊かでがんばっておられる皆さまとのおつきあいのありがたみを感じます.

2022/8/1      いろいろなことがおこりすぎる世界
コロナやマコさまで世間が騒いでいたころはまだ平和だったと思うこの頃. ウクライナには研究上の知人もいるので3月はいてもたってもられず毎日ネットばかり見ていたが 大学が破壊され, 大学などといっていられないような事態にあれよあれよとなって もはや言葉を失う... 割と軍事の記事を漁ったせいで妙なことに詳しくなってしまったが 荒れ狂う異常気象も世界も野蛮である(これが本来の人間の世界かもしれない).
こんな今年なのに恐ろしい頻度でトークの仕事がはいり, そのテーマが毎回違うという何か試されてるんじゃないか と思えるような日々を送る半年でありました. まだ この夏あと5つ. がんばれわたし. 極めつけは研究の話をするのはほぼ不可能と思われる オープンキャンパスの模擬講義の当番... そして悟ったことは高校生は本当に何も知らないんだという驚愕の事実(今更だが微分積分は高3で習うとかmatrixはしらないとか オイラーの公式は無茶だとか... ). そのことを考えると大学に入ってから4年間で獲得する学生の知識量と頭脳空間の拡張ぶりは驚異的である. そして大学一年に対する私の態度は確かに鬼(かもしれない... ) 講義で学生連中に相談してみたところ いっそのことわからない方向に振り切るべきだという, わかったようなわからないようなアドバイスをもらった. なんとなくありがとう... 物理学とはという話から始めることにしたのだが しかしさすがにモチベーションが上がらないので 物理学の全貌を書いた何か図はないものかとネットで探してみた. 物理の地図あった. まぁおしゃれだし情報もたくさん 載せていて頑張っていると思った. が 微妙にいろいろな点が気に入らなかった. ゆえに一から自分で作ってみてトップページに公開しています. (所要時間は半日もかかっていないので 決して暇人ではありません) .
やや趣味に走ったと思える点が2つ:其の1は下地の地図の絵を 「鳥瞰図と俯瞰図が共存したあの鬼才にしかかけない構図」 と同僚の有名監督にいわしめた有名映画のポスターの構図をアレンジして(80%ぱくって)ipadでつくってみた. この構図は本当に芸術的だと私も思う. 其の2は気が付く人がいるか微妙だが わたしの物理に対する様々なアイロニーが満ち溢れている.

2021/10/      ノーベル賞さわぎ
意外に, 最近ノーベル賞関係は 多少日本人がとったくらいでは皆騒がなくなってきた... のだが 今回 真鍋さんというお方, 気象シミュレータのお方という遠い感じだったのだが 母からチャットが届いた: 「我が家の大ニュース」, なんだろうと思いきや 母方の祖母の従妹の義理の弟さんがこの真鍋さんらしく, 要は私も小さいころお会いしていた親戚のおばさま三姉妹の叔父さんに当たる方のようだ. 母は昔 真鍋のおうちに行ったことがあってピンときたらしく まあ私的にはあぁそうかい, そんなに励起するかい という感じだが 母がとても喜んでいたのでよかったではないかと思うのだが. 仕事柄 Parisiのほうが自分の研究にかなり近いうえ QCDなど多岐にわたって仕事をしているということで, おお ついにメジャーになってよかったと思っていたところである. 昔, 上田くんがメールを出したとき親切に答えてくれた, とてもいい人なんだと思う. (その辺の人たちに質問せずにParisiに直接聞いたのか...それはそれでびっくりだよ上田くん).
Parisiのレプリカの話は割と直感的なもので, とても重要な素晴らしい仕事だが, 一般ピープルにはおそらく説明不可能ではないかと言われ 下手するとマニアックすぎて 物理屋の間でもどの程度分かっているかも怪しいくらいである. 案の定 Parisiのパすらニュースに流れない.. 笑.
それで 真鍋さんの話を夫にしたら「いやいやいや, 友達の友達の友達の友達は全日本国民だよ」.... 「(一応)親戚でノーベル賞はちょっとレアじゃない?」 「いや、フィールズ賞(夫の母方)いるよ」「...」レアじゃなかったか. ちょっとがんばれば日本国民はみんな親戚かもしれない.. というオチでした.

2021/9/9      9月になった
恐ろしいほど早く時間が過ぎてあっという間に9月になってしまった. 春学期は, 5年漬けの量子電荷グラス論文1本、4年漬けのSSDイジング厳密解論文1本を仕上げ そして投稿以来様々な理由で2年間苦しんだ実験との共著の強磁性の論文1本がやっとアクセプトされた. どれも気に入っているが、疲れた.... 院生連中の論文もだんだん佳境に入って来ている. あまり最近やたら論文を書いたり直したりせねばならず, 自分の文章の欠点はさておき, 論文においてよくあるパターンとして, XXXXX , in other words YYYYY 同じことやん!, 1度でいいやん と私は思いがちなのだが, 「小泉進次郎構文」という話が出ていてめちゃくちゃ笑えた... youtubeの イギリス人だったらバージョンが 面白すぎてしばしストレスを忘れる.

2021/3/23      謎の表彰.
最近 「オンライン授業等におけるグッドプラクティス総長表彰」と「JPSJ Outstanding Referee 2021」 というなんだかまじめにがんばったで賞みたいならしくないものを 表彰されたっぽい... が実は自分でもなぜ表彰されたのかよくわからない. 夫「えーオンラインそんなにがんばってたっけ?」 わたし「いや、別に普通. お気楽にやってただけ.」 夫「えー僕 君よりずっと頑張ったのにひどいや!」=実際 頑張ってノート創ってUPしてたのに 酷い目にあっていた. うむ, 確かに酷い気がする. 一応 力学を落とすべきか落とさざるべきか例年以上にものすごく真剣に答案を何度も見て悩んだり、とか、統計力学IIが学生があまりに物分かりがいいので気合を入れて10年ぶりくらいに演習問題を大幅パワーアップしてみたとか、そういうことくらいだろうか. こういうと何だが私よりふまじめな教員を数えた方がよほど簡単な気がするのだが, すいません、ダイジョウブかな、東京大学. まあでもすごく沢山表彰されていたのできっと誤差範囲なんだと思います. エディター仕事とかレフェリーもまあふつうにまじめにはやってるんだけど これは積算値らしいが うっかり忘れてて学会での表彰時にオンラインだけどいかなかった.... 学生どもが発表準備ギリギリなものでそれどころではなかったのだ. その場にいなかったこと気づかれなかったことを祈るのみ.

2021/3/17      卒業.
今年はメンバーが実質的に8人いて自宅にいるのでみな私が起きている間はいつだってavailableだと思うわけで skypeとzoom議論の奴隷となり, はっきりいって起きている間ずっと働くというブラックな毎日を送った. 時期によっては寝てる間も考えて朝起きたら思いつくなんてのはざらで  コスパは良いとは言えないうちの研究室でもコロナのおかげで(学生の!わたしのではない!)研究が ずいぶんはかどってしまったとはいえるかもしれない... 3/26には新ネタを披露する, これは絶妙にマニアックさが一般受けの頂点にピンポイントでのし上がれる感じの なかなかのヒットであり, まだ穴はあってつぶしている最中だがなぜか ほぼ手計算である. 聴衆が驚く顔(オンラインだと顔が見えない!)がちょっと楽しみである... なんとわたしにはこれくらいしか愉しみがないのだろうか... 春で一気にメンバーが3+1名減るので 来年から少しは自分の研究ができるかもしれないが, 慣れるまでは当分寂しくなるだろうことは否めない.


2020/3/31      コロナコロナコロナ.
大学はこのところ大騒ぎである. なにせ半分以上がロートルの集まりにもかかわらず 果たしてオンライン講義なんてできるのか? なんて話なのだが 東大という大学は学生も先生も「人参をぶら下げたら必ず走る」「ハードルがあれば必ず飛ぶ」 「なにせColumbiaでも Yaleでもできてるんだから決してできないとは言わない」「それが最善ならばやりましょう」 という至極単純かつ厄介な人たちの集まりである. そして本当にやってしまうよき羊のような人たちである. 他の大学に対する影響なんて彼らはきっと考えていないだろう (わたしには諸大学の人たちが資源不足に頭を悩ませる図が目に浮かぶようである). とはいえ, 試しにいろいろいじってみたら 思ったよりおもしろそうだと思ってしまう 失敗を屁とも思わない珍しもの好きの緊張感のない自分もちょっとこわい. そいえばふと思い出したが この間の会議で知り合ったYaleのおじさんはすごくかっこよかった(日本の偉い先生にはなかなかいないタイプ), かつあまりスカシてなくてずっと雑談してたんだけど とっても面白いひとだった. こじゃれた古いスポーツバッグ1つで出張し 画に描いたような断捨離ライフをNYで送り 物理の実験の大家なのに華やかな医学系との研究までしてるらしい (なんと広い世界観だこと).
コロナで家にこもると鬱々とするとか暗くなるという人が多いようなのだが わたしはたとえ1か月家族以外の人と誰にもあわずにスーパーに食材を買いに 行く以外に外に出なくても全く平気 である. むしろのべつまくなしに研究をしてしまったりして これほど理想的な(非人間的)ライフはないくらいである. 実のところこのところそれで計算しすぎてぐったりした. 逆に学生と話したり自分の研究をひたすらinteruptされることは, まともな人間として生きていく上では実に必要であるということである.


2019/7/19     日本人に見えない件.
黒い髪と黒い瞳をもっているにもかかわらず 残念ながら私は日本人には見えないらしい. うっすらその事実に気づいたのは, 10年以上前, Max Planck@ Dresdenのゲストハウスで中国人グループの中秋の名月パーティに 中国人として誘われたときである. 10人以上の中国人たちに「その顔はどう見ても中国人である」 と自信をもって断言された.   次は 友人(Hungary人)が, とある国際会議でニマニマしながら 「K-sensei(@東北大)asked me who is that chinese girl? Is she a postdoc of somebody? ..fufufu」 とうれしそうに言ってきたとき, これもまだ30そこそこだったころである.  ずいぶん前に退官されたが, その後もK先生とお会いするたびそのことをお互い思い出しているに違いない.   ここ数年更にその傾向は強まり, いわゆるfast fashon店で店員に「do you need a tax refund?」といわれ しかたなく 「no thanks」と答えてしまったり, 店で普通に日本語でしゃべっているのにお問い合わせをしたら「日本にお住まいですか?」 (ここは日本ではないのか?!:心の声)と言われたり, 京都で突然「日本人ですか?」ときかれてそうですとこたえたら がっかりされたり, 残念なことは極まりない.     去年のドイツの会議では 「なぜchisaは日本人女性に見えないのか?」について ひとしきり議論が行われたらしい... とRが帰りに車にのっけてくれてケルンからフランクフルトにビュンビュン飛ばしている最中に教えてくれた. 「手振りが違う」とかいろんな説が出たらしいが結論はよくわからない.
ところで大学院生は海外に行くことを強くお勧めしている.     私は2wk以上海外に継続して滞在したことは実はない. 20代終わりの若いころからduty漬けでとても1か月もいけたものではなかった. それに比べれば今の人たちはたいへんだというが ものは考えようで 自由で結構恵まれてるんじゃないかと私は思っている.     しかしともかく私のacademic業界の親しい友人の半分以上は海外にいる.     彼らがいなければ私はきっと(メンタルな意味で知的な意味でも)研究を続けてこれなかったに違いないと思っている. 研究者をやるなら 院生連中にもぜひ 日本人離れした風体になっていってきてほしい.

2019/4/1     また院生が増えてしまったりWebを改定した件について.
私はスピンと電荷の揺らぎを研究している, しかし学生の人数の揺らぎの研究には失敗している. 今年また許容人数を超えてしまいました. がんばります.
Web pageは主に我々の研究に興味を持ってくれたり 大学院生になりたいと思ってくれる人たちに向けて 発信する場です. そのweb pageがダサい(ダサかわいいをめざしていた)ことに前から心を痛めていたのですがこのたびロートルな わたしが一念発起し, bootstrapなるものを導入しリニューアルしました. これで smart phoneにも対応可能なはず. さてこれが吉と出るか凶と出るか. その際に Harvard Natural Museum のWare collection として知られるglass flowersの写真を2018年 撮ってきたものを使用しています. つまりタイトルのリンゴはガラスでできています. 同僚はす向こうのO川氏のwebにあるリンゴが前からちょっとうらやましかった私は実はそのあたりややパクっているのですが, しかし人間の精度の面でも圧倒的に差がある私がまねしてもしょうがないわけで... ご覧のとおり私のリンゴは後ろを向いていて赤くて葉っぱがついていて そして繊細なガラスでできている, そんな少しひねりを効かせたメッセージを deliver しているつもりです(きっと誰も何とも思わないだろうから ここは威張るところではありませんが). なお この美術館は 私の敬愛する共同研究者 Yasu Takanoさんが Gordonの会議の後「ここにいったら? chisaはきっとこれが好きだろう」と紹介してくれたところです. さすが!私のことをよくご存じで. H田くんたち若者勢とご一緒しましたが私だけ長々と展示室を離れられずきっとあきれられたことでしょう. この花たちは標本としてドイツのガラス職人親子に発注され はるばる海を越えてアメリカにわたったそうです. 私はガラスが大好きで(スピングラスではありません) 昔NancyにいってTiffanyコレクションをみたり Machintoshコレクションを(こちらは建物ですが世紀末つながり)見るためにGlasgowまで 飛んだこともあり. その中でも今回のコレクションは自然に忠実であろうという心意気が感じられて すばらしいの一言に尽きました. 機会があればぜひ行かれることをお勧めします.

ついでに去年海外遠征を4回行い(それでも2件断ったのだが)元々体も弱めで疲れ果てた私は, 今年はお呼びも大してないけど海外には いかないぞと思うことにした. そもそも海外より前に論文である, 研究である. ウクライナにはいきたかったが外務省の黄色地帯に踏み込むことはうちでは固く禁止されている. インドもYasirには「安全だよ 説得してあげるよ」と言ってもらったが同じく黄色地帯なのであきらめた. ちなみにYasirといい Ganashといい どうして私の知っているインド人の笑顔がみなすごいのだろうか. 高貴な家の出で幸せしか知らない, インド人は基本笑顔である, このどちらなのかがサンプル数が少なくてわからない. 同じくらい笑顔がすごいのは日本人ではKK井先生くらいだと思う.


2018/5/23     DMはじめました.
ダイレクトメールではありません, Dzaloshinskii-Moriya相互作用です. 何年か前に 反転対称性の破れた結晶のXX とかそういう話題が始まったころから トポロジカルブームとなんとなく あわさるように 右を見てもspin orbit(スピン-軌道相互作用), 左を見ても spin orbit という状況がはじまった. 学会に行けば SOやDM (DMはSOの絶縁体バージョンである) のはいっていないハミルトニアンはないのか?といいたくなる ありさま(少し大げさか). はやりに追従することを最もヨシとしないしないわたしとしてはもちろんそっぽをむくことXX年, しかしついに うちもDMのはいった1体問題をはじめてしまいました. 初夏に「かき氷始めました」という張り紙が出るみたいに さりげなくメニューから消えていく運命であろうと思われるが これまた我々がやるわけですから 「これまで絶対出ないと思われていた系でXXを出す」というのが好きなわけで, 今回もやってみたら意外と面白かった, というのが蓋をあけてわかったことである. 加えていいことは何事もやってみると細かいこともわかるようになるので 人の話が少し突っ込んで聞けるようになることである.
ちなみに1体〜平均場 というのも学位取得以後くらいに封印をして15年来やっていなかった. なんとなくHamiltonianをちょっとかえて銃弾爆撃的に似たような物理の計算を(1体だといくらでも計算できる)やる あの劣化銅鉄主義な感じが自分の美学に反してからだが, これまたわかったことは
* 非常に教育的テーマである(ただし自ら教育されているわけで私が教育したわけではない= 自ら問題を解決できるところがよい, もちろん簡単にとけるという簡単が文字通り簡単というわけでもないので ひとによります),
* 全部すっきりさっぱり解けるから気持ちがいい.
「こんどからうちも1体に走ろうかなぁ」といったら「ダメです」とたしなめられた. 立派な学生をもって幸いである. ちなみに量子多体といいながら結局は1体ばっかりやってるところも結構多い. 前者はもちろん面白いけれども とても学生には大変なので 論文がポンポン出るというわけにもいかないのだが, 磁性と量子多体をやっている理論グループは 日本では絶滅の危機に瀕しているようなので そのあたりはX夏では終わらせずにずっと続けるミッションがあると思われる.


2017/8/8
もう1年たってしまいました. どんどん書かねばならないものがたまっていっています, 計算も. そんな中でT君の論文がついに脱稿した. T君は天文学科所属, うちに突然現れ, 突然研究をすることになったのが彼が駒場2年生のみぎり, 趣味の物理の一環としてうちで 光誘起相転移の数値計算を行っていた. 結果論からして, 彼がやっていたのは結構(たぶん学部生にとってはとてもとても)大変な計算だった. 古典系なのだが連続体だからである, うちは学生がみんな量子系をやってるのでそれに比べれば楽かと思ったがいやはや... 一時は怪しい相互作用をいれてフラストレーション誘起の二段転移なんてものを出そうとしていたのだが(そういう論文も実際にあるのだが), わたしが「不自然なモデルはだめだ」というものだから自然なモデル化できれいな物理を出すために彼はずいぶん試行錯誤したに違いないが, 最後の方になってとくに美しい結果が出てきたのにはとても感心した. 長期戦になってもあきらめないモチベーションの高さと, 生き急ぎ方(この点だけ見れば私の学生時代を見るようだ. 他は当然 昔の私より立派である)にも感心した. 研究力は年齢ではないと改めて実感. 楽しみとしては趣味で気楽に付き合えたこと, 学会発表を3年生でものすごく堂々としたときには (質問に対するみなぎる自信にびっくり...) 「学部3年生なんだよ!」と研究仲間へのネタになったことだろうか. 無事立派な論文に書き上げられてよかったです.


2016/9/23
この夏はなんだか大変だった. 8月初めまで集中講義, 夏学, 研究会とひたすら準備に追い立てられ, せっかくの夏休みにガタが来てダウン. その後復活し, 台湾にいき, 学会にいき 今日に至る. 台湾と学会は正直会議にあまり期待していなかったのだが, いろいろな人にあえて収穫は大きかった. 台湾はヨーロッパ勢は少ないといわれ 某F氏が嘆くように2次元量子系が少なく パイロクロア族が廼していたのも事実だが, 普段あえないアメリカのお友達や前からお知り合いになりたかったR氏@ヨーロッパや関係者が話しに来てくれて いろいろ教えてもらい, バックグラウンドで盛り上がった. 会議に行くとその時は楽しいこともありよいのだが 人と会う人数分+α以上にネタが増えてしまう. 前の仕事を片付けないでこれらに飛びつくと また 未発表論文塩漬けX年物、というのがふえてゆく. しかし今年は 脱一馬力を目指す 〜 こうした新しい問題にもちゃんと対応してくれるであろう立派な学生たちが徐々に成長しているので ひそかに彼らが着々とやっていってくれることに期待している. まあ最初から5馬力とは言わないが, 2,3馬力くらいで当分はやっていけたらよいのだが. (計算機室エアコンが壊れて新しく6馬力を導入. そのときいろいろ調べて以来 単位「馬力」というのが気に入っている).

2016/4/1
今年から学生が5名になった. 1:5+1PD というのはまだ浅いHottaG史上最大数である, 今後はこれ+/-1程度に抑えないととてもやっていける気がしない. 今年はたくさん講義が入ってこれも困っている, 大きな声では言えないが, わたしは講義が苦手である. もはや教壇に立つこと10年余, 今更講義をしているときの感覚が嫌というわけではないのだが, 例えば自分の講義姿の動画などは死んでも見たくない. あと準備にはまると研究が滞るのがとてもストレスである. 準備ってそれなりに大変なのよ.
たまには講義ノートでも刷新しないと基礎の勉強をしないというのもまた事実であるが故, 全く講義がない研究所に行こうとはユメユメ思わないのだが, 新しい大学に着任して数年は何となくそのストレスを感じる... しかし5年たつとまた教える内容に今度は飽き飽きして倦怠感を感じる... この世に天国はない.
東大の学生はやたら質問してくる, あとtypoの指摘がすさまじい. 前者は割とうれしいことなので着任したころは妙に感動したものだ. が, 突っ込みを受けて苦笑するたびに「君たちもあと20年たったら経年劣化で漢字やスペルをすっかりわすれてしまうということがどれくらい普通のことか, とか 細かいファクター(計算における係数)が本質ではないことがきっとわかるだろうよ (あ, もちろん学生のころは一数字たりとも間違えない覚悟で計算に取り組むべきである.), それでもまだ君たちには負けないぞ」  と内心?つぶやいているのである. でもこれでもものぐさな私にしては, 一応ミス撲滅に向け努力してるのよ.


2014/7/14
この日付でようやく7年, いや8年ごしの研究が1本出版にこぎつけられた. この研究はまあ国の違う3名中2名が毎年どこかで会うたびに1か月くらい亀のあゆみのように 進んでいた研究であり 永遠に出版には至らないかと思われていたのだが, ... FとKの最後の2013夏の追込みにより有限サイズ問題が解決し F学生の風車男が相関関数を計算し 論文をHとKでこねくり回した挙句なんとか投稿にこぎつけたものである. めでたい. よく考えるとかなり面白い話なのだが, ある意味死ぬほどマニアックな話でもある. ちなみにこの研究が終わってしまったため Fがはいたセリフ "What shall we do next? we need a good excuse to meet with each other". 研究生活が20年近くなってしまうと, 研究の動機とは案外こんなものかもしれない.
しかし知り合ったころは若かった我々も10年もたつとだいぶお互い忙しくなって研究の進みも遅くなる一方である.

2014/5/22
若手科学者賞というのをいただいたのだが 海外出張をしていて授賞式に出なかったので4月某日に粗品を取りに行った. 夫には「賞金とかないの?こっそり隠してない?」と身に覚えのない容疑をかけられたが ただの賞状と粗品である. 祖品だと思ってあけもせずに1か月くらい紙袋のまま放置していたのだが, ふと片付けようと思ってそいえばどんなものだろうと開けてみた. すると意外や意外... 粗品というのは失礼だったようだ. こちらである,

まあややなんというかイタリア美術的(←本来はあんまり好きではない)とは思うのだが 実物は精巧で結構かっこいい, 銀製らしい. 美術マニアの私としては 意外な掘り出し物を当てた気分であった. さっそく去年の受賞者である現在共同研究中のH大W氏に「どんな図柄だった?」と聞いてみたところ, 図柄は毎年同じらしいことがわかった. W氏は図柄には全く感銘を受けなかったらしく 「イニシァルくらいいれてくれればよいのにね」という意外な反応がかえってきた. たしかに, 文科省の倉庫(ってあるんだろうか?)に同じメダルが大量にストックされている(毎年100個弱出るとして..)んじゃないかと思うとそれはそれで興ざめかもしれない...