グラフェンの部分構造であるヘキサペリヘキサベンゾコロネン(HBC)分子に「水に溶解する分子部品」と「油に溶解する分子部品」をとりつけてやると、洗剤分子のように両者の性質が拮抗し、特異な様式で分子の積み重なりが起こり、結果としてチューブ構造を与えることを発見した。このようにして得られる「グラファイトナノチューブ」自体は絶縁体であるが、酸化処理により電気を通すようになる。これは、グラファイトに似た構造が電子の通り道になるためである。「グラファイトナノチューブ」は、分子エレクトロニクスにおける微小電子回路の開発研究を始めとしてナノテクノロジーの進歩に大いに貢献することが期待される。
Self-Assembled Hexa-peri-hexabenzocoronene Graphitic Nanotube.
Jonathan P. Hill, Wusong Jin, Atsuko Kosaka, Takanori Fukushima, Hideki Ichihara, Takeshi Shimomura, Kohzo Ito, Tomihiro Hashizume, Noriyuki Ishii, and Takuzo Aida
Highlighted in C&EN
Science 2004, 304, 1481–1483.
電気を通すグラファイトナノチューブの開発