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電子とホールを同時に流すグラファイトナノチューブ

 グラファイトの一部を切り出した平板状分子(HBC)と、フラーレン(C60)が連結した分子を合成し、自己集合させることによってナノサイズの中空シリンダー状構造体が得られました。この構造体は、壁内部に規則的に整列した分子グラフェン層を、フラーレン分子層が内側と外側から挟み込んだ同軸構造を持っていました。電界効果トランジスター測定より、このナノチューブは電子とホールを同時に流す性質があることが明らかになりました。さらに、1次元構造体の光電変換特性を計測するためのデバイスを開発し、このナノチューブの光電子機能を調べた結果、明確な光起電力特性を示すことを見いだしました。分子集合体の精密な設計により、新しいタイプの太陽電池のような高効率光−電気変換デバイスの材料開発に向けての重要な知見を与えるものです。