可視光の波長と同程度の周期構造を持つ材料「フォトニック構造体」は、光の取り出し・閉じ込め・伝搬制御など、光を操るための究極のツールとなる。通常は無機結晶や有機ポリマーなどの固体材料でできているが、もし流動的な物質を使って「フォトニック構造体」を構築できれば、環境や刺激に応じた動的な光の制御が可能となる。しかし、秩序性と流動性とは相反するものであり、流動的な物質を使ったフォトニック構造体の構築は極めて困難であった。
Photonic Water Dynamically Responsive to External Stimuli
Koki Sano, Younsoo Kim, Yasuhiro Ishida, Yasuo Ebina, Takayoshi Sasaki, Takaaki Hikima, and Takuzo Aida
水中にごく微量の酸化チタンナノシート(1%以下)を分散した後、ナノシート間に働く静電反発力を極限まで高めたところ、分散液中のナノシートが長周期で規則正しく配列し、鮮やかな構造色を示すことが分かった。秩序性と流動性を兼ね備えたこの「動的フォトニック結晶」は、温度・pH・磁場などの環境の変化に応答し、構造色を全可視光領域にわたり瞬時に変える。
Nature Commun. 2016, 7, 12559.
環境の変化によって自在に色を変える水